耳面刀自ミミモノトジ)” の例文
耳面刀自ミミモノトジ。おれはまだお前を……思うてゐる。おれはきのふ、こゝに来たのではない。それも、をとゝひや、ソノさきの日に、こゝに眠りこけたのでは、決してないのだ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其お方がお死にのキハに、深く/\思ひこまれた一人のお人がおざりまする。耳面刀自ミミモノトジと申す、大織冠のお娘御でおざります。前から深くお思ひになつて居た、と云ふでもありません。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
耳面刀自ミミモノトジ。おれには、子がない。子がなくなつた。おれは、その栄えてゐる世の中には、跡をノコして来なかつた。子を生んでくれ。おれの子を。おれの名を語り伝へる子どもを——。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)