翅虫はむし)” の例文
よく晴れた秋の日で、草の葉を揺るほどの風もなく、すき透るような空気の中に、翅虫はむしのうなりが静かに聞えていた。
藪落し (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
長虫は処を得て這ひまはり、また翅虫はむしは澱みを幸ひ湧きむらがつて、人の棲家とも思へなかつた。
閑山 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)