秤量しょうりょう)” の例文
ところが、その結果、理智の秤量しょうりょうが反対になってしまって、かえってこっちの方が、犯人のしつらえた秤皿さらの上に載せられてしまったのだよ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
緑雨の作の価値を秤量しょうりょうするにニーチェやトルストイを持出すは牛肉の香味を以て酢の物を論ずるようなものである。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
と法水は彼に似げない神秘説を吐いたが、云うまでもなく、奥底知れない理性の蔭に潜んでいるものを、その場去らずに秤量しょうりょうすることは不可能だった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それゆえ、ここでもし法水のりみずが、伸子の秤量しょうりょうを機会に転回を計ることが出来なかったあかつきには、恐らくあの暗黒凶悪な緞帳カーテンが、事件の終幕には犯人の手によって下されるであろう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)