神人ジンニン)” の例文
神社の神人ジンニンはその信仰を普及する為に芸能を行ひます。大和猿楽も春日につき、興福寺・七大寺に関係し、さらに諸国をまはります。
無頼の徒の芸術 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
其盛んに見えたのは、真に突如として、室町の頃からであるが、以前にも、所々方々に、下級の神人ジンニンや、くゞつの手によつて行はれて居た。
広田の氏子が、祇園の神人ジンニンであるといふ事は、一体、どうした事であらう。だが、此は不思議でも何でもない。かうした例なら、幾らでも挙つて来る。
村々の祭り (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
社についてゐた神の奴は、中古以来「神人ジンニン」と称へてゐる。かむづこと言ふ語も、後には内容が改つてゐるが、元はやはり字義どほりの神奴カミツコであらう。
信太妻の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
さうした山の神に仕へる神人ジンニンがあつて、暮・初春には、里へ祝福に降りて来たので、その時には、いろ/\な土産ものを持つて来て、里のものと交易して行つたのです。
門松のはなし (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
神人ジンニン・童子などゝ称し、社の祭事・寺の法会などに各種の演芸を行つたものが居つたが、彼等は生活の不安を感じ出した事によつて、其等の社寺を離れ、各自属した処の社寺の信仰と
ごろつきの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
淡路島に、西の宮の神人ジンニンが居つて、其が、西の宮の祭礼に参加する事、恰も古代の邑々ムラ/\に於て、海岸から離れた洋上に、神の島があり、其所から、神の来り臨むやうであつたのだと思ふ。