祇園精舎ぎおんしょうじゃの鐘の声、諸行無常の響あり、沙羅双樹さらそうじゅの花の色、盛者必衰しょうじゃひっすいことわりをあらはす……」
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いわゆる平家物語の哀々たる人間詩を高くかなでながら末路のひとすじをとってゆくのであるが、勝者の源氏方にも、義経の行動や頼朝の家庭を中心として、もう盛者必衰しょうじゃひっすいの芽が育ちかけていた。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)