画布カンヴァス)” の例文
少なくとも私には——そのときの私の周囲の事情にあっては——この憂鬱症患者が彼の画布カンヴァスの上にあらわそうとした純粋な抽象的観念からは
筆をるときも、頬杖ほおづえを突くときも、仮寝うたたねの頭を机に支うるときも——絶えず見下している。欽吾がいない時ですら、画布カンヴァスの人は、常に書斎を見下している。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)