甲山かぶとやま)” の例文
布倉山ぬのくらやまの布倉媛は姉倉媛に加勢し、甲山かぶとやま加夫刀彦かぶとひこは能登媛を援けて、大きな神戦かみいくさとなったのを、国中の神々が集って仲裁をなされたと伝えております。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
………幸子はそんなことを考えながら、遠くの空に甲山かぶとやまかすんでいる夙川しゅくがわの堤防の上を走らして行った。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
午後ドクタア・ビゲロウと私とは竹中を通弁として伴い、東京から四、五十マイルさきの甲山かぶとやまに根岸氏を訪問し、彼の住居に近い或種の洞窟を見るために東京を出発した。
気の毒にもあり可笑しくもあれば終にそのままに止みぬ。後にて聞けば甲山かぶとやまと云う由。あたりの山と著しく模様変れるはいずれ別に火山作用にて隆起せるなるべし。これのみは樹木黒く茂りたり。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)