先なる駕籠の垂れをはぐって、白髪あたまをのぞかせたのは、柳生対馬守の江戸家老、田丸主水正たまるもんどのしょうで、あとの駕寵は若党儀作ぎさくだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
江戸へ着いた柳生対馬守つしまのかみ一行。麻布林念寺前りんねんじまえかみやしきで、出迎えた在府ざいふの家老田丸主水正たまるもんどのしょうを、ひと眼見た対馬守は
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
発願奇特帳ほつがんきとくちょうの総決算を終わった田丸主水正たまるもんどのしょうは、こけ猿のことを思うと、いても立ってもいられなかった。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
こうしてこの江戸家老田丸主水正たまるもんどのしょうに、迎いの駕籠かごをつけて、長屋へつかわしたというわけ。ところが。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その鉢を前にして、柳生藩江戸家老、田丸主水正たまるもんどのしょう、蒼白な顔で、ふるえだした。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)