生食いけずき)” の例文
この頃、頼朝は生食いけずき磨墨するすみという二匹の名馬を持っていた。この生食をしきりに欲しがったのは梶原源太景季かげすえである。梶原は頼朝に度々生食拝領を願い出たが
だれでも知つているとおり、源太は頼朝が秘蔵の名馬生食いけずきを懇望したがていよく断られた。そしてそのかわりに生食には少し劣るが、やはり稀代の逸物である磨墨するすみという名馬を与えられた。
余裕のことなど (新字新仮名) / 伊丹万作(著)
いかに宇治川早しといえども、乗る馬は日本一の名馬生食いけずきである。真一文字に川を渡ると対岸に打ちあがった。磨墨は川の中程から水勢のため斜めに流され、ずっと川下から岸に乗りつけた。