玄人筋くろうとすじ)” の例文
高利の金を借りた場合には、玄人筋くろうとすじは当人の手にその金が入るより先に、その噂を受取るに違いないが、さっぱりそのことがない。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そういう考えから、素人しろうとの道楽半分に少しばかり調べてみた結果をこの昭和三年の初春のにぎわいまでに書いてみる。もちろん玄人筋くろうとすじの考証家には一笑の値もないものであろう。
日本楽器の名称 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さればこそ、測り知られぬ山と、田と、畑と、祖先以来の金銀と、比類のない馬の数を持っているこの富豪をつかまえたことが、興行界の玄人筋くろうとすじの機敏な目先にも見抜き切れなかったことになる。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
千葉周作の次男栄次郎を小天狗と称して、出藍しゅつらんの誉れがある。これと斎藤の次男歓之助とを取組ましたら、絶好の見物みものだろうとの評判は、玄人筋くろうとすじを賑わしていたが、それさえ事実には現われなかった。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)