煉香ねりこう)” の例文
前以て電話が掛けてあったものと見えて、煙草盆たばこぼん座布団ざぶとんも人の数だけ敷いてあって、煉香ねりこうにおいがしている。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
さすが五百人もの輩下をつかう藤波のすることだけあって、大広蓋に香道具やら香木、煉香ねりこう、髪油にいたるまで、ひとつも洩れなく山ほどに積みあげて持ちこんで来た。
顎十郎捕物帳:16 菊香水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
すると、その漏斗ろうと型の耳から煉香ねりこうが転げ落ちる。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)