渡船塲わたしば)” の例文
みのるは白木蓮の花を持つて、吾妻橋の渡船塲わたしばから船に乘つた。船が岸を離れた時のゆるやかな心のすべりの感じと一所にみのるの胸には六七年前の追懷の影が射してゐた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)