涸裂ひわ)” の例文
白絹襟巻の紳士は、涸裂ひわれた唇に熱い珈琲コーヒーのコップを思い切って押しつけた。苦痛を通して内臓機関に浸み込んで行く芳烈な匂いは、彼の眼に青とも桃色ともつかぬ二重の蝶を幻覚させた。
巴里のキャフェ (新字新仮名) / 岡本かの子(著)