流々るる)” の例文
「というても……」と、かれはいたく迷惑そうに、「この弦之丞自身すらが、流々るるに任す無住の浪人、定まる家もない境遇であれば、そなたをどこへかくもうてあげるすべもない」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
流々るるの身をかこつ調べとも聞かれれば、また、仇を求める一念の送りとも聞こえ、あるいは、作左衛門の魂魄やはかなき変を聞いた新九郎の為に、兄と恋人とが手向けるとも聞かれるのである。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)