汾河湾ふんかわん)” の例文
それは僕にも必ずしも全然面白味のないものではなかった。しかし僕は京調けいちょうの党馬や西皮調せいひちょう汾河湾ふんかわんよりも僕の左に坐った芸者にはるかに興味を感じていた。
湖南の扇 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、私が呼んだ筈の、嬌名きょうめい一代を圧した林黛玉りんたいぎょくは、容易に姿を現さない。その内に秦楼しんろうと云う芸者が、のみかけた紙巻を持ったなり、西皮調の汾河湾ふんかわんとか云う、宛転たる唄をうたい出した。
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)