水銀みずかね)” の例文
水銀みずかねを商ふ旅人 五位殿だか何だか知らないが、あの人が急に弓矢を捨てて、出家してしまつたものだから、多度たどでは大変な騒ぎだつたよ。
往生絵巻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「お政の懐中鏡は、水銀みずかねがピカピカ付いていますよ、の毛ほどの傷もないくらいで、——七八年前に二両二分で買ったそうだが、物持ちのいい女じゃありませんか」
「その毛に気が付きゃ文句はあるめえ。それにお政は、清松の大さらいで水銀みずかねを呑まされ損なったことも、涼み船から突き落されたことも、銭形の兄哥は聞いているはずだ」
お政は打ち明けてお寿のせいとは言やしませんが、去年の暮には、大さらいの晩、危うく水銀みずかねを呑まされるところを、弟子の浜名屋又次郎はまなやまたじろうさんに助けられ、今年の夏は涼み船から突き落されたのを