水府すいふ)” の例文
角の煙草屋たばこやの老婆が、姿を見て、薬研やげんの側からあいさつした。賛五郎は水府すいふのたまを一つ求めながら、軽い言葉でいてみた。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小首をかしげて、通りすぎた下駄の音にまで耳をすましたが、やがて、細口の銀ぎせるに、水府すいふをつめて、一ぷく、たばこずきらしく深く吸って、また物待ち顔に、往来を気にしている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)