比丘尼横丁びくによこちょうというのだそうである。大袈裟おおげさにいえば長屋千軒がみな売笑婦の家で、一夜に百石の油を燈心にともすともいえるほどな繁昌さである。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)