正面まえ)” の例文
やがて彼は碑を正面まえにして坐った。彼の手には、鞘に納められた天国が、握られていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
正面まえへ廻って藤吉はその柘榴ざくろのような突傷をめつすがめつ眺めていたが、いっそう身体を伏せると、指で傷口を辿り出した。それから手習いをするように自分の掌へ何かしら書いていた。