歌声かせい)” の例文
旧字:歌聲
牛糞の匂と家畜の匂と、兵士達の歌声かせいと女達の笑声と、獣の吠声と車輪の軋音と、踏まれる沙から発する音と、武器と武器との触れ合う音とが、沙漠の静寂をおびやかした。
沙漠の美姫 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
今宵は芝蘭しらんの鉢の香りゆかしき窓、茶煙一室をめ、沸る湯の音のびやかに、門田の蛙さへ歌声かせいを添へて、日頃無興にけをされたる胸も物となく安らぎ候まゝ、思ひ寄りたる二つ三つ
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)