文部省は当時すこぶる多く名流を羅致らちしていた。岡本況斎、榊原琴洲さかきばらきんしゅう、前田元温げんおん等の諸家が皆九等乃至ないし十等出仕を拝して月に四、五十円を給せられていたのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)