柳原河岸やなぎわらがし)” の例文
神田の柳原河岸やなぎわらがしを通りかかったのは、今で言えば夜の八時頃でした。懐中ふところには十両余の金があって、跛足びっこを引き引きやって来ると闇の中から
お浜や八五郎に別れて、柳原河岸やなぎわらがしの宵明りを、自分の家の方へ急いでいたのです。
で、どこをどう歩いて来たか、その夜になって、もう琵琶を袋へ納めて背中へ廻し、家路に帰ろうとする気配けはいで通りかかったのは、例の柳原河岸やなぎわらがしです。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)