板行はんこう)” の例文
これらの諸作はいづれも文政ぶんせい六年以後に板行はんこうせられしものにして、北斎が山水画家としてまた色彩家としてその技倆の最頂点を示したる傑作品たるのみに非らず
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
味方は味方と板行はんこうで押したように考えないで、敵のうちで味方を探したり、味方のうちで敵を見露みあらわしたり、片方かたっぽづかないように心を自由に活動させなくってはいけない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
殊にその晩年安政時代の板行はんこうにかかる名所江戸百景の如き、その意匠の奇抜にして筆勢の軽快なるにかかはらずその着色中の赤と緑の如きは吾人をしておおいに失望せしむるものあり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)