未生前みしょうぜん)” の例文
父母未生前みしょうぜんにまでさかのぼって、人間に善を説く仏だの神だのも有りとしながら、主体の許容もなく、人の子の血管に、こんな性をしのび込ませておいたのはだれなのか。
彼れは他郷から帰省した者のように、今夜は少年時代の自分の姿を闇の中のあちこちに見詰めた。……もっと快活で元気のよかった昔の事が未生前みしょうぜんの時代のように心に浮んだ。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)