木内種盛きうちたねもり)” の例文
油井伯爵を首領にいただいた野党の中の智嚢ちのうと云われた木内種盛きうちたねもりは、微髭うすひげの生えた口元まで、三十年ぜんとすこしも変らない精悍せいかんな容貌を持っていた。
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「僕は、今日、寺へ往くみちで、そら、あの病院の前を通って、木内種盛きうちたねもり君のことを思ったよ、木内君の死は、ありゃどうしても、ただの病死じゃないね、その当時噂のあったように……」
雨夜続志 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)