有明行燈ありあけ)” の例文
新字:有明行灯
椙江を押退けるようにして跳び込んだ又平、居間へ駆けつけると、有明行燈ありあけの光のなかに五人の武士が、いずれも抜きつれて主人を取巻いている。
半化け又平 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そのちょっと前のことであるが、或る夜ふっと眼がさめると、いつも点いている有明行燈ありあけが消えていた。
寒橋 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
お笛は愕然がくぜんと振向いた。——有明行燈ありあけの灯を細くしていま寝衣に着換えようとしていた時、横手の小窓が外から引外されて、一人の男がぬっと跳込んできたのだ。
嫁取り二代記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
人の立つ気配がして、ぼーっと有明行燈ありあけの灯がかき立てられた。そして低く、ぱちりぱちりと何か打つ音がし始める……程なく、離室のほうで突然どたんとすさまじい物音
暗がりの乙松 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)