昇汞しようこう)” の例文
「まさにその通り、この赤い酒の中には、香も匂ひも何んにも無い、恐ろしい毒が入つて居る——多分昇汞しようこうといふものだらうと思ふが」
「危いのこはいのつて、子供にはうつかりして居られやしない。お末の奴、今朝あぶなく昇汞しようこうを飲む所さ……あれを飲んで居て見ろ、今頃はもうお陀仏様なんだ」
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
照子はひたかくしに匿して、狭心症の発作だなんて白つぱくれてるけれど、じつはあれなのさ……昇汞しようこうなんだよ。大へんな苦しみ方だつたといふぢやないか。金井がわたしに、こつそり耳打ちしたのさ。
地獄 (新字旧仮名) / 神西清(著)
今朝の昇汞しようこうの事がぐら/\と一緒くたになつて、頭の中をかき廻したので、今までの透きとほつた気分は滅茶苦茶にされて、力三も今時分はきつと腹痛を起して
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
昇汞しようこうをどの位飲んだんでせう」
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)