故人なきひと)” の例文
もう一昨年頃故人なきひとの数に入ったが、照降町てりふりちょう背負商しょいあきないから、やがて宗右衛門町の角地面に問屋となるまで、その大島屋の身代八分は、その人の働きだったと言う。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
故人なきひとは妙齢の淑女なればにや、夏ながらさまざまの生け花の寄贈多かりき。そのなかに四十あまりの羽織はかまの男がもたらしつるもののみは、中将の玄関より突き返されつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)