挂冠けいかん)” の例文
「人生の頼みがたさから賢明な帝王さえ御位みくらいをお去りになるのであるから、老境に達した自分が挂冠けいかんするのに惜しい気持ちなどは少しもない」
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
挂冠けいかん首相芦田均君に読んで貰うより、私はまだ、かけ違ってお目にかかったことはないが、有名な美人——現代政治家の夫人としては、並ぶものなしといわれる、芦田夫人に愛読して貰う方が
その方針をあきたらぬとする岡本権判官や、政府の弱腰を嘆く丸山外務大丞の挂冠けいかんを横目で見送って何らの痛痒つうようをも感じなかった。むしろ彼らの人間的な欠陥や時代的不誠実に嫌悪をさえ覚えた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)