抑揚めりはり)” の例文
それよりも、咲子は大人のやうな抑揚めりはりのある調子で、講談本を読むのが巧かつたし、侠客や盗賊の名前もく知つてゐた。
チビの魂 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
故人と大の仲よしで、その作物を舞台にかけては、いつも評判をとっていた老俳優の駒十郎は、こんなことを言うのにも、台詞らしい抑揚めりはりを忘れなかった。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
すッかり啖呵になって、声音も抑揚めりはりもちょうど昔の陰惨な岡ッ引の調子。見せかけか本領か知らないが、いずれにしてもゾッと人を悚み上らせる嫌味があった。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
俳優はそれを聞くと、ちよつと眼をぱちくりさせたが、急に舞台に立つてゐる折のやうに声に抑揚めりはりをつけて
俳優はそれを聞くと、ちょっと眼をぱちくりさせたが、急に舞台に立っている折のように声に抑揚めりはりをつけて
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)