禹徳淳 (呆然と佇立していたが、気がついたように戸口へよろめいて立ち塞がる)それは何のことだ。
刑事達は、困って、肩を擦り合わして戸口に立ち停まっている。魔誤まごし乍ら、三人とも、右手から左手へ、それから逆に、続け様に帽子を持直して許りいるのだ。
と起って戸口へ行き、黄瑞露に手伝って藁蒲団と毛布を室内に持ち込む。遠くから「コレア・ウラア!」の叫び声が近づいて来る。同時に隣室にもその合唱と足踏みがはじまる。
すこしでも注意ぶかい人なら、そこに、一風変った人種の出入によって、しっきりなしに不気味に揺れている一つの戸口を発見してぎょっと——その最も不用意な瞬間に——することであろう。