惝怳しょうけい)” の例文
この国民的腐敗を目撃した後も、なお且支那を愛し得るものは、頽唐を極めたセンジュアリストか、浅薄なる支那趣味の惝怳しょうけい者であろう。
長江游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この長き月日を冷たい、暗い喧騒な寮にくすぶって浮世の花やかさに、憧れたりしわが友よ、僕は君を哀れに思う。かくのごとくして歓楽に惝怳しょうけいする君は歓楽から継子ままこ扱いにされねばならなかったのだ。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
こういう風景をながめていると、病弱な樗牛の心の中には、永遠なるものに対する惝怳しょうけい汪然おうぜんとしてわいてくる。日も動かない。砂も動かない。
樗牛の事 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)