悧巧者りこうもの)” の例文
板新道いたじんみちの三人姉妹きょうだいのうちで一番悧巧者りこうものらしくて、お蔦などとは似てもいない中の妹のお里だった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
矢部という男はかねてからなかなか手ごわい悧巧者りこうものだとにらんでいたから、しは今日の策戦には人知れぬ苦労をした。そのかいあって、先方がとうとう腹を立ててしまったのだ。
親子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
待てば海路の日和とは、昔の人間にも、悧巧者りこうものはあったと見える。——
曲亭馬琴 (新字新仮名) / 邦枝完二(著)