御堂前南久太郎町みだうまへみなみきうたらうまち、花屋仁左衛門の裏座敷では、当時俳諧の大宗匠と仰がれた芭蕉庵松尾桃青たうせいが、四方から集つて来た門下の人人に介抱されながら、五十一歳を一期いちごとして
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)