従同胞いとこ)” の例文
叔父は、叔母や従同胞共いとこどもを愛してゐたとは思はれぬ。叔母や従同胞いとこ共も亦、叔父を愛してはゐなかつた様である。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
時としては、従同胞いとこ共が私の家へ遊びに来る。来るといつても、先づ門口へ来て一寸々々ちよいちよい内を覗きながら彷徨うろうろしてゐるので、母に声を懸けられて初めて入つて来る。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
五人の従同胞いとこの中の唯一人の男児は、名を巡吉といつて、私より年少としした顳顬こめかみに火傷の痕の大きい禿のある児であつたが、村の駐在所にゐた木下といふ巡査の種だとかいふので
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)