其夜そのよ征西将軍せい/\しやうぐんの宮の大祭で、町はにぎやかであつた。街頭をぞろぞろと人がとほつた。花火が勇ましい音を立てゝあがると、人々がな足を留めて振返ふりかへつた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)