往昔そのむかし)” の例文
この浅間敷あさましい老人の姿——空腹と老衰と病弱とに虫喰むしばまれている老人の姿を、誰が今日見たところで、その老人が往昔そのむかし、逞しい体の所有者で、そして素晴らしい好男子で
死の航海 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
柱には大己貴命おほあなむちのみこと少彦名命すくなひこなのみことたなごゝろへ載せてる像が浮彫になつて居り、それを巻いて温泉を讃美した古代の歌が万葉仮名で彫つてある。往昔そのむかし大己貴命と少彦名命とが此所で久し振りに逢はれたげな。
坊つちやん「遺蹟めぐり」 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)