“引地川”の読み方と例文
読み方割合
ひきじがわ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
僕等はこんなことを話しながら、今度は引地川ひきじがわの岸に沿わずに低い砂山を越えて行った。砂山は砂止めの笹垣のすそにやはり低い松を黄ばませていた。
蜃気楼 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
僕等は引地川ひきじがわの橋を渡り、東家あずまやの土手の外を歩いて行った。松は皆いつか起り出した風にこうこうとこずえを鳴らしていた。そこへ背の低い男が一人、足早にこちらへ来るらしかった。
蜃気楼 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのうちに僕等は松の間を、——まばらに低い松の間を通り、引地川ひきじがわの岸を歩いて行った。海は広い砂浜の向うに深い藍色あいいろに晴れ渡っていた。が、絵の島は家々や樹木も何か憂鬱ゆううつに曇っていた。
蜃気楼 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)