市人しじん)” の例文
この頃江戸の町には奇怪な見世物が流行はやっていた。時代に投合したものか、市人しじんの趣向に適したものか、とにかく大変な人気である。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古今東西の歴史を見るも実に江戸時代におけるが如く公衆の俳優を愛したる例証はこれあらざるべし。江戸の市人しじんは俳優に対して不可思議なる熱情を有したり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
市人しじんの闘鶏に熱するや、かならず戦乱あり、などといって、やかましく凶兆を説く陰陽師おんようじもあるが、堂上ですらしていることなので、検非違使の取り締りも、ききめはない。