小名木おなぎ)” の例文
供の男たちは徒歩かちで陸を帰り、主人側三人と女中三人は船で帰ることになって、船頭の千太が船を漕いで、小名木おなぎ川をのぼって行きました。
此れも親父同様生え抜きの江戸児えどっこ、而も深川は小名木おなぎ川の辺に生れて辰巳風を吹かせるから、頗る言葉が粗い。あたいはいっそ口惜しくってならねえよ。
The Affair of Two Watches (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ある夏の夜ふけに、近所の源吉という十八歳の若者が小名木おなぎ川の岸へ夜釣りにゆくと、七、八間ばかりはなれたところで突然に凄まじい水音がきこえた。魚の跳ねるのではない。
深川の老漁夫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
祖父母ノ墓ハ深川ノ小名木おなぎ川近クノ或ル法華寺ニアッタノダガ、ソノ後間モナクアノ辺一帯ガ工場地帯ニナッタヽメニ寺ハ浅草ノ龍泉寺町ニ移リ、ソコモ大地震デ焼カレタノデ
瘋癲老人日記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)