寂静ひっそり)” の例文
旧字:寂靜
数間を離れて百姓や旅人、そういう人々の見物の群が、円陣を作って見守っているばかりで、気味悪いばかりに寂静ひっそりとしていた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼は楊柳の蔭へこっそり姿をひそませて、じっと様子を窺った。船中の唄声はやがて絶えて、また四辺は寂静ひっそりとなった。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「お泊まりなさいまし」「柏屋でございます」「へいへいこれはお早いお着きで」——などと云っていた出女の声も、封ぜられたようになくなって、萩村の駅は寂静ひっそりとなった。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
やがて門は内から閉ざされ、松火も隠れ音楽も消え、あたりは全く寂静ひっそりとなった。
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)