六の時にはもうほおひげも生えて三十くらいに見え、へんに重々しく分別ありげな面構つらがまえをして、すこしも可愛かわいいところがなく、その頃、讃岐に角力すもうがはやり、大関には天竺仁太夫てんじくにだゆうつづいて鬼石、黒駒くろこま
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)