大跛者おほちんば)” の例文
大跛者おほちんばの小豆澤小六郎が、その躰術の名人だといふことを知りたいばかりに、一萬兩の隱し場所の話をして釣り出したのさ
大跛者おほちんばで不自由さうですが、それでも、金を貯めるたちの人によくある、勞働を享樂する心持はよく呑込めます。
唐臼からうすを踏むやうな大跛者おほちんばで、それに左の肩の下がつた猫背も、何となく、不具者の痛々しさを強調します。
「それ、親分だつて驚くでせう、あの右の足が二三寸短かい大跛者おほちんばの、しみつ垂れの傴僂せむしが——」
親は本郷一丁目の古道具屋與次郎といふ、大跛者おほちんばの愛嬌者だが、娘は本郷一番のきりやうですよ。あんなピカピカするのは、江戸一番と言つても文句を言ふ奴はありやしません。
それから專三郎を殺した時、中二階の手摺てすりを越して忍び込んだ自分のやり口を、自分で大ぴらに話してゐるのは恐ろしい智慧ぢやないか。大跛者おほちんばは本當だが、身輕なことはこの上なしさ。