大切おおぎ)” の例文
大切おおぎりにナポレオンがその将士を招集して勲章を授ける式場の光景はさすがにレビューの名に恥じない美しいものであった。
手拭を頭に巻きつけ筒袖姿つつそですがたの、顔はしわだらけに手もやせ細ってる姉は、無い力を出して、ざくりざくり桑を大切おおぎりに切ってる。薄暗い蚕棚かいこだなの側で、なつかしい人なだけあわれはわけても深い。
紅黄録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
前の十場面は脚本で読ませておいて大切おおぎり一場面だけ見せてもいいかもしれない、とも考えられるが、それでは登場人物が劇中人物に成り切るだけの時間が足りないであろう。
初冬の日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)