夤縁つて)” の例文
女が今の男に落籍ひかされてから、彼はすこしばかりの資本もとでをもらって、夤縁つてのあったこのS——町へ来て、植木に身を入れることになったのであった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
父の預金帳から盜んで來た金の盡きる日を眼近に控えて、溺れる者の實に一本の藁を掴む氣持で、圭一郎は一人の夤縁つてもない廣い都會を職業を探して歩いた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
夤縁つてを求めて知合いになった、自分と同じような或他の職業に働いている活動の女、独立の女、人妻になっている女などから聞される恋愛談などから
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)