多々良三平たたらさんぺい)” の例文
門口かどぐちをあらあらしくあけて、頼むとも、御免とも云わず、大きな足音がしたと思ったら、座敷の唐紙が乱暴にあいて、多々良三平たたらさんぺい君の顔がその間からあらわれた。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただ覚えているのは多々良三平たたらさんぺいの山の芋だけである。山の芋などはどうでも構わんと思ったが、盗難品は……と云いかけてあとが出ないのはいかにも与太郎よたろうのようで体裁ていさいがわるい。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところへ威勢よく玄関をあけて、山の芋の寄贈者多々良三平たたらさんぺい君があがってくる。多々良三平君はもとこのの書生であったが今では法科大学を卒業してある会社の鉱山部に雇われている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)