土坡どは)” の例文
お留守居組のわしは、その長い列の行く手を、お城の土坡どはから見送っていた。とめどなく流れる涙も拭わず見送っていた。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白茶色の土坡どはで崖崩れを防ぎ、広く前庭ぜんていを取り廻わした、和洋折衷の瀟洒たる二階家、まず数段の石段を登る、玄関に通ずるコンクリイトの小径、その左手は若木の植込、その右手は書斎の外側
小酒井不木氏スケッチ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
低い土坡どはのうねりを躍り越えた。遠くに帯のように流れが見えてきた。しめたと、劉備は勇気をもり返したが、河畔まで来てもそこには何物の影もなかった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
組々の士隊長は、お城の土坡どはに立って、法螺ほらのような声で怒鳴った。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)