囚人とりこ)” の例文
なさけなや、六欲煩悩ぼんのう囚人とりこである身は、やはり、うつつも少しも変らず、恐ろしい。激しい不安や恐怖の餌じきにならずにはいられぬのだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
山の上には煩悩の種がないと云う、上人のお言葉を頼みにしては居るものゝ、自分はいつしか煩悩の囚人とりことなって居るのではあるまいか。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)