貞固さだかたは謹んでいていた。そして抽斎が「子曰しのたまわく噫斗筲之人ああとしょうのひと何足算也なんぞかぞうるにたらん」に説きいたったとき、貞固の目はかがやいた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)