“向嶋”の読み方と例文
読み方割合
むこうじま100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
明治の末、わたくしが西洋から帰って来た頃には梅花は既に世人の興をくべき力がなかった。向嶋むこうじま百花園ひゃっかえんなどへ行っても梅は大方枯れていた。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
青年甲 その男は東京の日本橋で稲川という酒屋の息子だが、先月の十七日、旧暦の十五夜の晩に、なじみのカフェーの女給を向嶋むこうじまへ連れ出して、ピストルで撃ち殺したんだ。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大正十二年九月震災の火で東京の市街が焼払われてからのちの事で、それまでは向嶋むこうじまにも土手があって、どうにか昔の絵に見るような景色を見せていた。
水のながれ (新字新仮名) / 永井荷風(著)